優等生

《1980年11月6日(木)》
 見ためには、どんな角度から捉えても非のうちどころのない優等生、そして元気ハツラツに映る人がいる。
 頼りがいもありそうだから、多くから尊敬の眼差しを浴びることもあろう。
 相談を持ちかければ、事情を分析して全能を駆使して考えてくれるだろう。どんなに深い悩みであっても彼はすらすら答えられそうだ。
 ある意味では逞しいから、その健康さを誇示すれば自分の自信が再蓄されるものと思っている。
 そうだろうか。
 在学中は、まずそれで有頂天を維持できたが、社会人となった今は、残り火が切なく、くすぶり続けているようにしかボクには見えない。
 何故かというと、世間の目が希薄になった中で、自信を確かめようとすると自ら、その元気さを見せつけるが、多彩な周囲は意外と反応を示さないものだ。世界を狭くする必要性を感じるのではなかろうか。いくら優等生でも、それが通じるのは僅かな範囲と、限られた思惑の間だけに留まってしまう。
 もしかしたら、彼が答えていた悩める人へのアドバイスは、相手の立場になって考えることではなく、自身の常識に添った良識の一片だったのではないだろうか。一度話してしまえば清々しい満足感が膨らんで相手の身辺に拘わった征服感をフィルター越しに味わった筈だ。
 しかし、それは冷徹な手厳しい判断と言うよりも、これまで築き上げてしまった自信の微かな奢りなのではなかろうか。
 彼が人一倍、強固に見えるのは、軟弱な面をつつましく隠しているのを暗示している。パラドキシカル性に溢れていることを、僅かな長所として捉えてこそ、周囲や相手の中で、自由な精神が闊達に動きまわるのではなかろうか。
 全てこよなく無難に消化し栄養を吸収し、元気であるのと、固執、拘泥し、憔悴しつつ、後悔を極めるのと、どちらも大差のないことだと思うし、結果が大分を支配して、そのままの評価を続けるわけでもない。
トランジション
ユニバーサル ミュージック クラシック
2001-06-27
ジョン・コルトレーン

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